こんにちは、インクイットブログ担当です。
印刷物が時間とともに色褪せて行ってしまい、何とも古めかしい見た目になっているものを見かけたことはありませんか?印刷物は、なぜ時間とともに色褪せてしまうのでしょうか?
今回は印刷物の色あせの原因と対処法を紹介していきたいと思います
褪色の主な原因
ポスター等の印刷物で褪色が起こる主な原因は以下に挙げられます。
- 光(電磁波): 太陽光や紫外線などの光にさらされると、インクが劣化し、色褪せることがあります。
- 空気中の化学物質: 大気中の酸素や湿度、汚染物質が印刷物に影響を与え、褪色を引き起こすことがあります。
- 熱: 高温や急激な温度変化も、印刷物の褪色を加速させる要因となります。
- 紙の品質: 使用する紙の質や酸性度は、印刷物の寿命に影響を与えます。酸性紙は褪色しやすく、アーカイバル品質の酸性でない紙を使用することが重要です。
- インクの品質: 使用するインクの品質や安定性も褪色に影響します。特にインクジェットプリントでは、顔料インクは染料インクよりも耐光性が高い傾向があります。
特にポスターの用紙には、リグニンという発色性が高い物質が使われています。これは木材由来の成分でリグニンに紫外線が当たると、発色性が変性してポスターが変色してしまうのです。
インクについては様々な原料が使用されていますが、ジスアゾイエローなど分子結合が弱い物質に紫外線が長時間当たると、分子の結合が壊されてしまいます。その結果として、色褪せが発生してしまうのです。
褪色を防ぐ方法は?
印刷物の褪色を防ぐには以下の方法が役立ちます。
- UVフィルター: 印刷物を太陽光や紫外線から守るために、印字面の保護としてUVフィルターガラスを使用することがあります。
- 耐光性品質の材料: 耐光性品質の紙やインクを選んで使用することで、長期間の保存に耐える印刷物を作成できます。インクでいえば顔料インクであったり、用紙であればパルプを使用しない合成紙を選ぶことで予防になります。
- フレーミング: 印刷物を額に入れて保護することで、外部の要因から守ります。
- ラミネート加工: 印刷物にUVカット効果のあるラミネートフィルムを施すことで、光や空気からの影響を軽減できます。
- 適切な保管: 印刷物を直射日光や高温・高湿度の場所から遠ざけ、適切な環境で保管することが重要です。
電磁波と褪色
結局褪色の一番の原因は光を含む電磁波になります。この電磁波の種類により色素の成分が影響を受け褪色が起こります。異なる色素や染料は、光や化学的な影響に対して異なる安定性を持っています。一部の色素は光に対して非常に敏感で、比較的短期間で褪色することがあります。一方、他の色素は光に対して耐性が高く、褪色が遅くなることがあります。例えば、青色や紫色のインクは、赤や黄色のインクよりも光に対する耐性が低いことがあります。また光の波長によっても褪色が異なります。紫外線領域の光は、多くの色素や染料に対して特に有害であり、褪色を加速させる傾向があります。一方、可視光線(人間の目に見える範囲の光)は褪色に比較的影響が少ないことがあります。
波長の影響
光の波長は、色に対する影響について理解する上で重要です。可視光スペクトルは紫から赤までの範囲であり、異なる波長の光が異なる色を生み出します。以下に、どの波長が影響が強いかについて説明します。
紫色と青色 (紫外線 – 400 nm以下から約480 nm): 紫色と青色の領域にある短い波長の光は、多くの色素や染料にとって非常に有害です。これらの波長の光は化学的な反応を引き起こし、褪色を加速させる傾向があります。紫外線(UV)領域に含まれるため、特に紫外線ライトや太陽光からのUV線に注意が必要です。
緑色 (約520 nm): 緑色の光は、多くの色素や染料に対して中程度の影響を与えます。これは、太陽光や一般的な照明のスペクトルに含まれるため、多くのカラープリントや写真は緑色を含むことがあり、長期間の保存には注意が必要です。
黄色から赤 (約580 nm以上から700 nm): 黄色から赤にかけての長い波長の光は、多くの色素や染料に対して比較的影響が少ない傾向があります。これらの色は一般的に褪色が遅いとされ、保存性に優れています。
褪色しにくい色しやすい色
印刷物を構成する色のなかでも、色褪せに強いのがシアンとブラック、つまり、青系統と黒系統です。青の顔料は分子の結びつきが強いため、紫外線を浴びても壊れにくいという特徴があります。また、光に強いだけでなく、熱にも強いうえ、酸やアルカリにも強い耐性を持っています。化合物として非常に安定しているため、その色の特徴も長く安定するのです。そして、最も色褪せに強いのがブラックです。日本語で墨というように、炭素がもとになっています。
色褪せしやすいグループは、イエローとマゼンタの暖色系です。この2つのなかでも、イエローはより色褪せしやすいと言えるでしょう。どちらもアゾ基という有機基によって結びついた有機化合物で、これを持つ染料を「アゾ染料」などと言います。アゾ化合物は分子同士の結びつく力が弱いため、紫外線を浴びるなど、何かの拍子に結合部が切れることがあります。すると、元の色味が失われてしまうのです。インクの発色はそれぞれの成分が化学的に結びついた結果であり、色の種類はその結合の仕方によって変わります。そのため、化合物の結びつき方によって、その結合度合いの強さも違います。結びつく力が弱いほど時間とともに薄くなりやすい、つまり色褪せしやすいということです。これが色褪せの基本的な原因になります。
いかがでしたか?結構マニアックな話になってしまったかもしれませんが、普段何気なく見かける現象もじっくり考えてみると意外と興味深い内容だったりしますよね。ちなみにインクイットのプリントでは基本的に顔料インクを使用しております。屋外使用のアイテムに関してはUVカット効果のあるラミネートフィルムの加工を推奨しており、その為に長期使用が可能になっております。ご興味がある方は是非商品ページをご覧ください。お待ちしております。
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